低温調理とは
低温調理という調理法をご存じだろうか。プロの世界では、昔から行われている調理技術の一つだ。
一般的なご家庭では、フライパンやなべ、電子レンジのオーブンなどで、調理するのが一般的だろう。
もちろん火力は強め、豚肉や鶏肉などは、中まで火が通ってないと、怖くて口に入れることができない。
しかし、あまりに火の入りが強過ぎてしまうと、肉が固くなってしまい、せっかくの良い肉も台無しになる。
そこで、低温調理の出番というわけだ。
低温調理は、比較的低めの温度帯での調理が基本である。
具体的には、60℃から70℃の間で調理するのだが、じっくりと時間をかけて火を入れていく為、中はジューシーで柔らかな仕上がりになるのが特徴だ。
低温調理の魅力
低温調理の魅力は、肉が柔らかくてジューシーな、仕上がりになるのが特徴である。
つまり、肉の中は、水分がほとんど抜けていないため、旨みもそのまま残っているという寸法だ。
低温調理する材料は、基本的に肉料理ということになる。
比較的肉質が硬くても、この低温調理の手法で料理をすれば、どのような肉でも柔らかく仕上がるのが魅力である。
一般的な肉の調理法は、高温のフライパンや、100℃近い温度帯のソースやスープで煮込むことになる。
煮込み料理ならそれでよいのだが、それ以外の料理では、中まで火が通りすぎてしまい、肉質がどうしても硬くなってしまう。
低温調理なら、温度設定さえ間違わなければ、誰でもおいしい料理が作れるのだ。
低温調理の調理例
前にも述べたが、低温調理は肉料理に対して行うものだ。
一般家庭では、鶏肉や豚肉、牛肉などが一般的だが、馬肉料理やカモ肉、シカ肉やイノシシなどのジヴィエ料理にも、低温調理法は向いていると言えるだろう。
ここで、一般的な調理法をご紹介しておこう。肉は、塊肉を使うのが基本だ。
まず、フライパンを熱しておき、薄く油をひいておく。
次に、塊肉の表面を、ざっと焼けば下ごしらえの完成である。
次に、スープや出し汁を鍋で沸かし、塩で吸い物味よりも、やや濃いめに味付けしておく。
みりんやワイン、醤油などを使用しても構わない。
鍋の温度を60℃から65℃に設定し、後は塊肉を入れ、40分から1時間ほど維持しておこう。時間は塊肉の大きさによって変わってくる。
出来上がったら、煮汁でソースを作っておき、肉を切り出したら完成である。
調理している間に、添え野菜などを用意しておくとよいだろう。
低温調理の注意点
低温調理法は、肉をぎりぎりの温度帯で、加熱する調理法である。完成した料理を見ると、切り口は全体的にピンク色になっているのがベストだ。
ローストビーフなども、低温調理に向いており、そのまま冷蔵庫や冷凍庫で保存可能だ。
ただし、注意しておかなければならないのが、厚生省などの規定では、肉の中心温度は63℃に達してから30分以上加熱するとなっていることだ。
実際に調理したらわかるが、中心温度を65℃まで加熱すれば、肉や魚はパサパサ状態になって食べられたものではない。
しかし、安全面を考慮すれば、こうした基準が設けられているのも仕方のないことであろう。
したがって、低温調理法を楽しむには、あくまでも自己責任ということになる。